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第30話 ラブラブ温泉旅行の巻
「―― 何処にしようかさんざん悩んで海の傍の
温泉にした」
「海のそば?」
「うん。海に沈む夕日がとってもきれいなんだって。
今から行って一度温泉入ったあとなら日没に
間に合うかな。さ、乗って」
そう言って車の助手席をあけて倫太朗を迎え入れた。
そして荷物をトランクに乗せる。
「それに部屋に露天風呂もついてるんだぜ」
「露天風呂……」
倫太朗は何故か、顔を赤らめる。
柊二はそんな倫太朗を見て微笑みながら
車を進めた。
倫太朗は少し疲れたように車のドアにもたれ、
そんな様子に柊二は倫太朗の髪を撫でる。
「……大丈夫?」
「うん。ずっと遠出は控えてたでしょ? だから
少し疲れただけ」
「着いたら起こしてあげるから少し眠ってろ」
「ううん、寝ない。せっかく柊二と一緒に居られるのに。
時間がもったいないよ」
(時間がもったいないよ、か)
柊二は倫太朗の手を握った。
「じゃあこうしててあげるからもたれてて?」
「ん、ありがと……」
倫太朗の顔色がすぐれないのを柊二は気にしながら
倫太朗の手をさらにギュッと握った。
「柊二……」
「ん?」
「愛してる」
「何だよー、今さら」
「ううん、まだ、面と向かって言ったこと
なかったなぁって。柊二からはいっぱい・いっぱい
言われてるのにね」
そんな倫太朗の突然の告白に、
柊二は照れたよう微笑んだ。
柊二の運転する車はしばらくして海の傍の
温泉旅館に到着。
「まぁまぁ、遠い所からよくいらして下さいました」
優しそうな女将が出迎えてくれ、
倫太朗と柊二を[桔梗の間]に案内した。
お茶を淹れながら、女将は続ける。
「お食事のお時間はどうさせて頂きましょう」
「ここの日没は何時位ですか?」
「そうですねぇ確か本日は6時くらいだったかしら。
お客様もここの夕日を見にこられたんですか?」
「ええ。綺麗だと聞いたんで」
「とても美しゅうございますよ? この[桔梗の間]は
特に海沿いなので露天風呂からも見ることが
出来るんです」
「へぇ、そうですか」
倫太朗はそれを聞いて立ちあがると障子を開け
その奥のガラス戸を開けた。
「本当だ。柊二、海が見えるよ。それに潮の香りが
する」
倫太朗はそう言うとスゥーっと新鮮な空気を吸った。
「いいお部屋をありがとうございます」
「いえいえ。ではお食事は……」
「日没後に頂きます。そうだな、7時くらいで」
「承知致しました。では何か御用等ありましたら、
あちらの内線にてお申し付けください。
ごゆっくり」
そう言って女将はお辞儀をして部屋を後にした。
水平線を見つめる倫太朗。
「ホントに綺麗……」
柊二はお茶に口をつけ、フッと笑って立ち上がると
ぼーっと外を見つめている倫太朗を背後から
抱き締めた。
「しゅう……」
「あまり風に当たっていると風邪ひくぞ?」
「海面がね、キラキラしてるの。それに波の音も……」
倫太朗が瞼を閉じる。
柊二もマネをして瞼を閉じた。
かすかに聞こえる、寄せては返す波の音 ――
ザザザ…………
潮風に乗って甘い倫太朗の体臭が柊二の鼻腔を
くすぐる。
「……もう限界だ、抱きたい」
「え?」
「だめ、か? まだ、早すぎ、かな?」
そう言う柊二に倫太朗は首を横に振った。
「抱いて……柊二」
そう言う倫太朗へ柊二はそうっとキスをした。
そのまま倫太朗を抱きあげると隣の部屋の襖を開け、
布団へ寝かせる。
「あ ―― もうお布団……」
「フロントで倫太朗がトイレに行った時、女将に頼んで
おいたんだ。敷いといてくれって」
そう言うと少し離れているもう片方の布団を
ひっつけた。
「しゅう……」
「しーっ。もう黙れ」
柊二は布団の上に赤くなって寝そべる倫太朗の
おでこに数多のキスを降らせる。
倫太朗が愛しくて愛しくてたまらない。
このままずっとこうしていられたら……
「あ……ん」
倫太朗の唇にむさぼるように吸いつく。
舌を絡めてシャツに手を伸ばした。
ボタンを外し、胸の飾りに触れる。
「あっ 柊二、でんき……」
「何今さら言ってんの? 倫の体で俺が見てない
とこはないっての」
「でも、恥ずかし……」
倫太朗のその膨らみに唇を寄せる。
そして、ツンと勃ち上がりかけてる飾りをゆっくり
口に含んだ。
「あ、あぁぁ――っ」
倫太朗の体がのけぞって柾柊二から与えられる
快感にゾクッと体を震わせる。
柊二は脱いだパンツのポケットを手でまさぐると、
そこから小さなボトルを取り出した。
片手で蓋を外すと栞の中心部に垂らす。
「ん ―― っ」
「悪い。冷たかったな。ジェルの方がお前も体の負担、
少ないと思って用意してたんだ」
倫太朗は頭を振った。
「少し……慣らさないと。久しぶりだから」
柊二は体を起こすとゆっくり倫太朗に覆い被さり
その蕾に指で触れる。
ギュッと目を瞑る倫太朗。
ゆっくりとほぐすと指を差し入れた。
「あ、はっ……」
体がビクンッと跳ね、柊二は思わず
「痛いか?」と、声をかける。
「う、ううん……だい、じょぶ……」
そう言う倫太朗にホッとしつつ、指先で内壁を
擦りあげた。
「ああっ……ん」
ハァ ハァと、息をしながら倫太朗が欲情しきった
視線を柊二へぶつける。
「しゅう……も、きて」
「りん……」
柊二は倫太朗の蕾に自身を押し当て
ぐっと押し入れる。
「んあ ――っ」
「りん…… りんたろ……」
「あぁっ」
数週間ぶりに感じる互いのぬくもりに2人は
堕ちて行く。
柊二は深く倫太朗の中へもぐりこみ、
倫太朗はそんな柊二をしっかり受け止めた。
「あ ―― 愛してる。愛してるんだ、りんたろ」
「も、離さないで。俺も愛してる」
俺は幸せだ。
誰よりも……きっと幸せ。
倫太朗にこんなに愛されて。
「はぁ はぁ……しゅうじ、もう ――っ……」
「りん……りん……っ」
柊二の熱い飛沫が倫太朗のナカへ注ぎこまれる。
2人は熱くキスをかわして2度と離れたくない
というようにぎゅっと抱き合った。
「4時か……5時くらいまで少し休もう。
栞も、疲れたろ? それから露天風呂に入っても
日没までには間に合う」
柊二は携帯のアラームを5時に設定した。
倫太朗も交代で運転していたせいか、
柊二に腕枕され安心してスゥー…と、
眠りに落ちた。
柊二もそんな倫太朗を胸に抱き幸せに浸った。
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