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第33話

「っ……首は止めて?」 「……どーして?」 「だって……服で隠せないし……」 「ほな、見えねーとこならオッケーやろ」 「わっ」   オレはソファーに倫太朗を押し倒したところで、   最近あまりに忙し過ぎて1人エッチすらご無沙汰   だった事に気がついた。   そして、倫太朗の唇を思う存分、味わう。    「ん ―― んふ……んん……ふぁ」   倫太朗のTシャツをまくり身体をまさぐっていると、 「―― こ、ここで……するの?」   一応、施錠はしてあるが……ここは、執務室。       「あぁ、したい」 「……んぁ……」 「嫌か?」 「なんか、恥ずかしい……しゅ、じ……んぁ ――  電気消して……あっ」 「なんで?」 「だって……ぁん……み、見えて、う……はぁ」 「今さらだな。お前の身体で知らない所はねーよ」 「! やぁ……ん」   オレは倫太朗のアンダーウェアも全て剥ぎ取った。    「ほら ―― 足開け」 「……や……」 「開かないとヤれねーだろ」 「なら、電気……」 「我慢比べか?」   オレは電気は付けたまま、倫太朗のふくらはぎを   舐めた。   そして、徐々に上へ這い上がっていった。   倫太朗から力が抜けていくのが分かり、すかさず   足の間に身体を入れる。 「やっ……」 「オレの勝ちだな、諦めろ」   そしてもう1度キスをしながら、   指を倫太朗の秘部へ押し入れた。 「んっふ……んぁぁ……」   指の出し入れのスピードを上げると倫太朗の   口からは何とも艶めかしい甘い声が漏れる。 「ふぁん……あぁ……んぁ」   このまま倫太朗がイクとこを見るのもいいが、   自分の欲を早く出したい気持ちが勝ったため   指を抜いて、硬くなった自身を倫太朗にゆっくりと   挿入。 「ああぁ ―― はぁ……はっ」   そして倫太朗の細い足を肩に掛けて、   出し入れを開始した。 「ふぁ、ん、ん、んぁ、あ、あ……や……おち、  落ちる……」 「っ ――掴まれ……」 「んっ……ふぁ、あ、んぁ、しゅじ……」   強弱を付けて久々の行為を楽しんでいたが、   そろそろ倫太朗も体力的にヤバそうになってきたため、   ラストスパートをかけた。 「くっ……」 「んぁ、あ、あ、んぁ……ひゃ、あぁ、あ、だめぇ、  あ、イクっ ―― んんっ」   倫太朗の身体が弓なりにしなる。 「……もーちょい付き合えっ」 「ふぇ……ん、んぁ、ん、も、無理……」 「……っう……」   倫太朗のナカで排出されたオレの白濁が   ゆっくり広がっていく……。  ***  ***  ***     枕に顔を埋めるようにしてうつ伏せになっている   倫太朗から規則正しい寝息がした。   それを確認した柊二はしっとり汗ばんだ彼の肩に   軽くキスをしてシーツを被せた。   煌々とした照明を落とし、淡い間接照明に   切り替える。   柊二が立ち上がるとソファーベッドが   小さく軋んだ。   シャワーを浴びてひと息ついた後、   酒を注いだグラスを持って柊二は室に戻った。   倫太朗は柊二がベッドを抜け出した事も、   シャワーを浴びて戻ってきた事も気づいていない。   ベッド端に腰を下ろした柊二がグラスを傾けると   氷が音を立てる。   その音にも起きる気配を見せないほど倫太朗は   深い眠りの中にいた。       「お前はいっつも人のことばかりだ」   倫太朗の寝顔を見て目を細める。   柊二の身体を気遣った倫太朗だが、   彼も連日の残業と睡眠不足による疲れが   見え始めていた。   無理はないと氷室は思う。   上層部では新人の安倍と倫太朗に   今回のプロジェクトを担当させる事について   古株と比較的若手、意見が ”賛成派と反対派”で   大きくふたつに割れた。   大きな利益の絡む大口のプロジェクトなので、   保守的幹部の多い古株は   ベテランの松浪と笙野を推した。   しかし、このプロジェクトが起ち上がった*月   当初の理事長が自ら人選した予定通り、   安倍と倫太朗に決定したのだ。      張り切るなと言う方が無理だ。   だが張り切り過ぎて身体を壊しては何もならない。   担当として動き始めて約*週間 ――。   そろそろ疲れが溜まってくる頃だ。   倫太朗の性格上、休めと言われて素直に休むと   思えない。   だから柊二は倫太朗を誘った。   身体を動かすのが億劫になるほど、深い眠りに   つけるように、いつも以上に激しく愛した。   明日は土曜日だから寝坊しても問題はない。   ベッドで過ごす休日も悪くない。   そんな柊二の想いを知る由もなく、   倫太朗は穏やかな寝息を立てている。

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