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第39話
季節の移ろいは早く、
徐々に冬の色が濃くなってきて、
最北の方からはちらほら初雪の便りも聞こえ始め。
柊二と倫太朗があの満月の夜8年ぶりの再会を
果たしてから、
もうすぐ2年になろうとしている今日この頃……
倫太朗は自分の後輩にあたる星蘭大医学部の
医学生達へ。
先日自分が携わった虚血性心筋症患者に対する
左心室形成術という成功率10%の難しいオペの
術中経過をレクチャーする為、教壇に立った。
因みに今日が特別講義の最終日。
実際メインでオペの執刀に当たったのは、
患者の主治医・各務大吾だったが。
今回のオペでは、助手として携わった全てのスタッフが
大きく高評価されていて、その流れを受け、今回の
特別講義となったのだ。
**日から始まった講義は毎回大盛況で、
最終日の今日は立ち見まで出た。
キ~ン コ~ン カ~ン コ~ン ――――
終業のチャイムが鳴るのを待っていたかのように、
柊二からの携帯メールが着信した。
”今、終わったよ。いつもの所で待ってます”
と、手早く返信。すると、隣から ――
「残念。今日も先約アリ、ですか?」
通常時、この時間帯の講義を受け持っている
心臓外科の講師・松崎だ。
「あ、松崎先生……」
「今日こそはお茶くらい誘えるかなって、思っていたん
だけどね」
「やだなぁー、俺なんか誘ったって面白くもなんとも
ないですよ~」
「そう思ってるのは、キミだけだよ」
「は?」
「キミ、ジャニ系のアイドルっぽいって、女子達には
密かな人気なんですよ」
「ええっ! またまたぁ~、先生ってば人をノセるのが
上手いんだからぁ」
と、倫太朗はまるで本気にしないが、
松崎に示された方、出入り口へ目を向ければ、
数人の女学生がいて、
倫太朗へ熱い視線を投げかけており。
倫太朗に気づかれると ”キャーーッ”と
ハートマーク一杯の嬌声をあげ走り去って行った。
倫太朗はびっくりするやら、恥ずかしいやらで
小さくため息を漏らした。
*** *** ***
いつも柊二との待ち合わせ場所に使っている、
祇園八坂神社前の階段 ――。
「―― あ、ごめんごめん、待ったぁ?」
「いいや、オレも今来たばかりだ」
またまた……嘘ばっかだ。
彼がさっきまで立っていた所には、
煙草の吸殻が結構たまっている。
「はぁ~……」
「大丈夫か?……何か、何時にも増して顔色悪いが」
「あ、う、うん……さすがの俺も、
夜勤明けの講義はかなり疲れちゃって……」
桐沢倫太朗 28才、職業:医師。
先輩医師・鬼束柊二 39才から ――
『……なぁ、倫』
『……はい』
『オレのもんになれ』
今のは聞き間違えだった? それとも幻聴?
『……は?』
『……お前が、好きだ』
告白された。
俺は迫田との一件もあり
”もう男なんて、懲りごり”って思ってたけど、
彼・鬼束柊二の意外に真摯な一面に
コロリとほだされ、
付き合い始め、現在に至る。
「つぅーか、顔近過ぎません?」
「ん~、そっかぁ? オレは気にならんが」
―― 疲労困憊の状態で、
柊二のキラキラは眩し過ぎる。
それでも、会えば会ったで、そこは、
まぁ……お互い、血気盛んな男同士、
という事で ――
ホテルに着いて部屋へ入るなり、
服を脱がせにかかってきた倫太朗に柊二は
少し眉をひそめた。
「おいおい、今日はやけにがっついてるな。
そんなに溜まってんのか?」
「抱いて欲しいだけだよ。ダメ、だった?」
「……いいや、久々にオレも燃えてきた」
噛みつくようなキスを交わしながら、
お互いベッドへもつれ込んだ頃には
2人共一糸まとわぬ素っ裸で ――。
柊二の手は心得たよう倫太朗の下半身へ
延びていく。
「もう、欲しい……柊二の大っきいのが欲しいよ」
「あぁっ??
お前、ホントに今日はどうしちまったんだよ?」
「ね ―― も、挿れて?」
「……後で苦情は受付ねぇぞ」
倫太朗の望みを叶えるべく、
指の代わりの熱い楔(くさび)がゆっくり
捩じ込まれていく。
「ぐぅっ……んン ―― 」
毎年この時期はイレギュラーな学会や勉強会やらで
やたら忙しく、この数週間は肌を重ねていなかった。
それだけに久しぶりのセッ**は快感もひとしおだが、
華奢な倫太朗の体には負担も大きかった。
みるみるうちに、倫太朗の額に玉のような脂汗が
滲み出てくる。
「ぐっ ―― やっぱめっちゃ狭いな……りん?
どこも痛くないか?」
「ん……ちょっ、と、苦し、だけ……はぁはぁ、ね、
だいじょぶ、だから、も、動いて?」
荒い息を吐き出しながら柊二はゆっくり抽送を
始めた。
「っあ ―― はぁン……(しゅじぃ……)」
「う、うわぁ ―― しまるぅ……っ」
”あ、明日、西さんの検査結果出るんだった……
資料今のうちにまとめておかなきゃな……”
ほんの少し仕事の事を考えていた倫太朗は、
いきなり最奥を強く突かれ、体を弓なりに
しならせた。
「ひゃぁっ!!」
「オレに抱かれていながら物思いに耽るなんて、
いい根性してんなぁ。あぁっ?!」
それまでの優しい攻めはウソのように、
ガンガンと倫太朗の弱いポイントばかりを
攻め立てる。
「やぁっ! あぁ ―― ごめ……ダメ、そこばっか……」
「だめだぁ? よく言うぜ。オレのギュウギュウに
締め付けてんのはどこのどいつだよっ?!」
「あぁっ ―― しゅじ……ひっ、ホントだめ、だから ――
も、イきそ……」
そんな追い詰められた倫太朗の醜態を見て
柊二も興奮し。
その分身がグッと容量を増した。
「っあ ―― や、バカ、大きくしないでよぉ」
「じゃあ、これ以上煽らないでもらいたいな、マジ、
歯止めが利かなくなる……」
「ハァ ハァ ―― しゅじ、も、イクぅ……」
「オレも、限界だ……」
2人はほとんど同時に果てた。
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