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第137話
片付けを済ませた斗真と買い物に行き、一週間分の大量の食材を買い込んで、二人で支度にかかった。
「ある程度の常備菜を作っておけば、弁当にも入れれるし、晩ご飯は外食しなくて済むだろう?」
との斗真の提案に従って。
元々斗真はそういう生活に慣れていて、二人とも料理は苦にならないタチだから、分担しながら晩御飯の用意も済ませつつ、そのうち中身が満杯のタッパーが山積みになっていった。
「希、明日から弁当はどうする?
俺は週2〜3食は持って行くけど、食べてくれるなら希の分も作るよ。」
「そうだな…じゃあ甘えて作ってもらおうか。
お前が忙しい時は俺が作るよ。
外回りの予定がない時は前日に言うから作ってもらえるかな?簡単でいいから。」
「わかった。もし時間が合えば一緒に食べれるかな…」
「あぁ。それもいいな。
会社にいる時はなるべく合わせるようにするよ」
わかった…そうか、一緒にか…とうれしそうに呟きながら、斗真は後片付けを始めた。
ん?
鼻歌が聞こえてきた。
流行りの大人数の女性グループのポップな曲だ。
昼メシを一緒に食べれるのがそんなにうれしいのか?
…うん、実は…俺もうれしく思っている。
時々断片的な記憶が蘇ったりするものの、それらが繋がることはなく、まだまだ他人行儀な俺達なんだが、斗真といると、何故だか落ち着いて安心する自分に気付く。
この先…どうなるんだろう。
俺は斗真に恋し始めている。いや…恋してる。
悔しいけれど、自覚はある。
斗真のことを思い、見つめられ触れられると、どうしようもない胸の高まりを押さえることができなくなる。
それでいいのか?
十年間思い続けてたという俺の気持ちはそれでいいのか?
自分のことなのに複雑な想いに囚われて落ち込みかける。
そうして片付けを済ませ、順番に風呂に入った俺達は、当たり前のように布団に潜り込み、斗真から差し伸べられた手を繋ぎ…眠りについた。
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