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第140話
反撃の隙をも与えられず無残に閉められたドアに向かって大きなため息をついた。
「斗真…行くか。」
「あぁ…」
人の恋路をゲームみたいに楽しむなんて、とんでもない会社だ。
アメリカナイズ?いや、違うって。
単に趣向の問題だよ。
変態倒錯幹部達め。ボスもボスだよ。
ぶつぶつ独り言を言いながら、斗真が俺の後をついて来る。
苛立っているのが背後から感じられる。
出社時間にまだ早い部屋は、今日の戦いを前に俺達を静かに迎え入れた。
「はぁっ…一週間ぶりのデスク…って何もない!?」
「俺のとこも!何で仕事がないんだ!?」
二人で顔を見合わせてフリーズした。
斗真が呟いた。
「まさかマジでクビ!?」
とそこへ
「おおっ!?仲良く二人揃って…
おめでとうございますっ!!!
いやぁ、びっくりしましたよぉー。いきなりハネムーンだなんて。
全くいつの間に…イチャイチャする時はどっかに行って下さいよねぇ、チーフ。
おい、影山!お前契約も早いけど、ソッチも早かったんだな。
結婚式は司会してやるから、絶対呼べよ!」
板野は斗真の肩をバシバシ叩くと自分の席に座った。
頭の中をクエスチョンマークが飛んでいる。
何?
ハネムーン?
誰と誰が?
結婚式?
何だそれ。
それに俺達のこと、何で知ってる?
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