151 / 1000
第151話
連休で明後日まで休みだ。久し振りに明日の朝はゆっくり朝メシも食べられる。
それを見込んで帰りに評判のパン屋に寄って、目移りしたけど、二人の食べたいのをいろいろと選んできた。
ご機嫌なほろ酔い気分で部屋に辿り着いた。
「あー、美味かったよな、斗真。あのソース、絶品だったな。
デザートもサイコー!」
「お高いだけの価値はあったな。
今度いつ食べられるかな…」
「うん、また行きたいよな。」
「うん。また行こうぜ。
希、風呂先に入ってこいよ。俺、片付けだけしとくから。」
「そっか、悪いな。じゃあお先に。」
片付けを斗真に丸投げしてバスルームへ向かう。
左手の薬指にはまだ慣れぬ感触があり、淡い照明を反射してキラキラと光っている。
指輪をつけてからも『そこにあること』を何度も触っては確認した。
光を受けて輝くのを見る度にドキドキした。
元の俺に戻りたい…
いつになったら記憶が全て戻るのだろう。
それまで斗真は俺を待っていてくれるのだろうか。
不安な気持ちを抱えたまま、シャワーのコックを捻った。
ともだちにシェアしよう!