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第151話

連休で明後日まで休みだ。久し振りに明日の朝はゆっくり朝メシも食べられる。 それを見込んで帰りに評判のパン屋に寄って、目移りしたけど、二人の食べたいのをいろいろと選んできた。 ご機嫌なほろ酔い気分で部屋に辿り着いた。 「あー、美味かったよな、斗真。あのソース、絶品だったな。 デザートもサイコー!」 「お高いだけの価値はあったな。 今度いつ食べられるかな…」 「うん、また行きたいよな。」 「うん。また行こうぜ。 希、風呂先に入ってこいよ。俺、片付けだけしとくから。」 「そっか、悪いな。じゃあお先に。」 片付けを斗真に丸投げしてバスルームへ向かう。 左手の薬指にはまだ慣れぬ感触があり、淡い照明を反射してキラキラと光っている。 指輪をつけてからも『そこにあること』を何度も触っては確認した。 光を受けて輝くのを見る度にドキドキした。 元の俺に戻りたい… いつになったら記憶が全て戻るのだろう。 それまで斗真は俺を待っていてくれるのだろうか。 不安な気持ちを抱えたまま、シャワーのコックを捻った。

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