157 / 1000

第157話

また少し本当の恋人に近付いた俺達は、予定通り掃除を済ませ、買い物に出掛けた。 少し遅めのランチを外で済ませると、一週間分の食料を大量に買い込み、帰宅した。 特売で思ったよりも安く買えたと、斗真はホクホク顔で、今から取り掛かる料理の段取りをし始めた。 「希、明後日の弁当はどうする?」 「うーん、そうだな…明後日は外回りだから…いいや。ありがと。また次頼むな。」 「ん、わかった。」 ぼんやりとしている間に、きんぴらや、切り干し大根の煮物、炒りこんにゃく、ジャコとピーマンの炒め物…と次々とタッパーに収まっていく。 すごい、美味そう…店開けるぞ。退職したら定食屋でもできそうだ。 凝視する俺に気付いたのか 「ん?どうした?何か食べたいものあるのか?」 「…きんぴら。」 あははっ と笑って、斗真が近付いてきた。 箸を差し出され、餌を待つ雀の子のように、あーんと口を開いたところに、きんぴらを放り込まれた。 もぐもぐタイムか…とうれしそうに頭を撫でてまたキッチンに戻っていった。 マジで美味い。 「美味い。」 思わず呟くと「当たり前じゃん」とキッチンから声がした。 聞こえてたのかよ。

ともだちにシェアしよう!