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第160話
side :斗真
俺は先日からの矢田の態度にずっと腹を立てていた。
アイツに俺のプライベートをあれこれと詮索される筋合いはない。
それに
希が言う通りに、万が一俺のことを想っていても、 俺は全くその気はないから、ハッキリ断ることがアイツのためだと思っている。
コンコン
「どうぞ」
ドアを開けると、矢田が窓側に立っていた。
俺は念のためにドアを開けてすぐの所で立ち止まった。
「おはよう。休日にまで電話をしてくるほどの大切な話って何だ?」
「おはよう…休みに電話して悪かった。
ハッキリ言わせてもらうが…お前達、このままだと出世にも響くぞ?
特にチーフは…
お前、アイツのことを大切だと思うなら…別れた方がお互いのためだろう?」
「ボスどころか本社も知ってる話だ。あれだけ派手に社内に発表されたし、戸惑いながらも今ではみんな受け入れてくれてる。
取引先にも伝えてあるけど、全く問題はない。
俺はともかく、希はそんなこと気にしない。
それに、俺達のことはお前に関係のない話だろ?
それが、どうして『お前と俺の大切な話』になるんだ?
訳わかんねーよ。」
「影山…お前がソッチもいけるって知ってたら、もっと早くにアクション起こしてたのに…
何で遠藤なんだ?アイツのどこがいいんだ?
俺の方がお前のことを知ってるし、想いも深い!
俺…俺は初めて会った時からお前のことが好きだったんだ。
少しでも共通の話題を増やそうと、仕事も頑張った…仲の良い同僚として…
それでもよかった。
お前の側にいられるなら…
いずれはかわいい女性と結婚するだろう…それでも側にいたかった。」
予想していたこととはいえ、直接言葉にされるとやはり衝撃だった。
黙る俺に追い打ちをかけるように
「それなのに、それなのにどうして?
何で突然やってきたばかりの遠藤なんかに?
俺の方が、ずっとずっとお前を想っているのに…」
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