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第164話

「おはようございます。朝イチですみません、見てやって下さい。」 腹を押さえて顔色の悪い俺を見て 「あらあら、今噂のお二人じゃないの。どうしたの? そこに横になって。そうそう。 ちょっと見せてね、シャツめくるわよ…ごめんなさいね。 …うわぁ…どうしたの?これ…内出血してるじゃない! 骨は…大丈夫みたいね。内臓は…うーん、念のため病院に行った方がいいわ。 そこからの出血なら後々大変だから。 診てもらった方が安心でしょ? 痛いわよねぇ…痛み強くなってる?…そう。 すぐ指定病院に連絡するから、ちょっと待ってて。 でも、こんなになるって、一体何があったの?」 「…説明、いりますか?」 「私は守秘義務があるから口外しないわよ。 ボスには伝えますけど。」 はぁっ とため息をついて、希が事情を説明した。 それをぼんやりと聞きながら、放置してきた矢田はあの後どうしたのかを考えていた。 「…そう。それは災難だったわね… でも、こんなことで壊れるような繋がりじゃないんでしょ?」 「ええ。もちろんです。」 「男女でもよくあることよ。 ショックだろうけど負けちゃダメ。」 「ありがとうございます…」 耳に入る強くて優しい言葉に強張っていた身体が緩んだ。 視界が滲んできた。 「斗真?痛むか?今、病院に連れて行ってやるから。」 『心配してる』と顔に書いてるような表情で、希が頬を撫でてくれる。 目を閉じてその手に擦り付いて甘えると、ぽろりと涙が溢れた。 「すぐ診てもらえるように頼んだから。 救急車は…あ、そう、嫌よねぇ。 じゃあ私が車を出すから行きましょう! どう?歩ける?」 「はい、大丈夫です…」 言われるがままに車に乗せられ、希と一緒に病院へ向かった。 途中、希はボスに事情を説明していた。

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