166 / 1000

第166話

八代さんのお陰で待ち時間もなくすぐに診てもらえた。 結果は… 触診もレントゲンも、今のところは異常なし。 ただ、嘔吐や下血があれば時間外でもいいから来るように、と念押しされて帰社した。 「大騒ぎして申し訳ありませんでした。 病院まで手配して下さってありがとうございました。」 「あらー、いいのよ。これが私の仕事だから。 お二人さん、仲良くね!今度また顔出してよ。」 なぜかうれしそうな八代さんに見送られ、とりあえずボスのところへ向かった。 「ボス、失礼します。」 「あぁ、影山…大事に至らなくてよかった… まだ顔色は良くないが…大丈夫か?」 ボスにハグされ、頭をよしよしと撫でられた。 横で苦虫を潰したような顔で希が睨んでいる。 これは仕方ないだろ? ハグはアチラの国の日常茶飯事の挨拶なんだから。 座り給え と促されてソファーに二人並んで座った。 「このことは俺と君達と八代さんと…矢田しか知らない。 時間が早かったせいもあって、誰も気付いていない。」 「矢田は…どうしてるんですか?斗真をこんな目に合わせて…俺は絶対に許さない…」 「一応、帰らせて自宅謹慎にしてある。 本人は『責任を取って退職する。今後のことはお任せします。申し訳ありませんでした。二人にも謝りたい。』と言っていたよ。 被害届を出す出さないは、君達次第だ。 実際、こんな怪我をしているから。 遠藤の一撃は…正当防衛だな。 だから気にすることはない。 二人でどうするか相談してくれ。」

ともだちにシェアしよう!