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第169話

それをじっと見ていた希は 「…俺は絶対に許さない…」 呟きながら触れるか触れないかの微妙な位置で唇を止めた。 色のついた皮膚に希の熱い息がかかる。 そこからチリチリと電気のように痛みが走ってきた。 「…うっ…希、痛い…」 吐息交じりに訴えると 「あぁ…ごめん…」 と残念そうに唇が離れていった。 「すぐにできるから…無理のない姿勢で待ってて。」 俺の鼻先にキスをして、服を元に戻していった。 希が俺のために怒っている。 なぜかそれがうれしくて誇らしくて、泣きそうになった。 そういえば… 呻き声を上げただけで飛んできてくれた。 希から恋人のようなキスをしてくれた。 希…俺、期待してもいいのか? 記憶がなくても、俺のことを想っていてくれてるって、自惚れてもいいのか? 未だ熱を持つ色の変わった皮膚から、別の熱が生まれていた。

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