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第175話

殴られて入院なんて。 どんな勢いで殴ったんだよ。ボクサーか。 いくら自分のモノにしたいがために、ここまで殴るか?普通。 油断して受け身を取る間もなく、至近距離でやられたからか。 俺もまだまだ甘ちゃんだったってことだな。 「とりあえず身の回りのもの取ってくる。 何か欲しいものあるか?」 「…キス。」 希の顔がぶわっと真っ赤になったのが見えた。 「お前は…こんな時に煽んなよ。個室でよかった…」 希はぶつぶつ言いながら顔を寄せてくると、ちゅっ とリップ音を鳴らしてキスしてくれた。 「これ以上は俺の理性が効かないから無理。 すぐ戻るから待ってて。」 「うん。行ってらっしゃい。」 じゃあ と、ひらひらと手を振って希が出て行った。 一人になって、冷静に考えようとした。 でも… 顔がニヤケて止まらない。 希が…俺の希が戻ってきた。 俺が傷付けて記憶をなくさせてしまった希が… 俺のことを愛してると。 結婚して下さいって。 二度もプロポーズされた。 うれしいけれど、こんな想いはもう、ごめんだ。 絶対に傷付けたりしない。 素直になって、甘えて…希の側から離れない。 あぁ、早く元気になって、希と思いっきり抱き合いたい。 あんなことやこんなことや…あっ、アレもしてみたい。いや、アレもいいな。 うっわー…エッチだー、俺。 悶えた拍子に身体を捻ってしまい、あまりの痛さに悶絶する。

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