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第176話

ひぃひぃ半べそをかきながら、さっき担当医が『絶対安静』と言ってたことを思い出した。 いてててててっ。 はいはい。わかりましたよ。 お利口に寝てればいいんでしょ。 点滴が邪魔だな。日頃元気が取り柄なだけに、こんな入院なんて、本当は少しビビっている。 痛む脇腹を やや斜め上に向くように調整して、そっと目を閉じる。 病院独特の匂い。 忙しない足音が廊下に響いている。 どこの誰か知らない人の声。 ガラス一枚隔てた外は、太陽が照りつけている。 矢田…本当にいい奴だと思ってたのに。 何がどうなってこんなことになってしまったんだろう。 俺がハッキリした態度を取っていればよかったのか? そんなこと、もうわからない。 きっと誰も悪くない。 俺のせいで希も仕事にならないだろう。 ごめんな、希。 お前のことずっと振り回してる。 でも、もう自分から離れたりしない。 愛してるから。 自分のことよりも大切だから。 希が離れていって、本当に大事だってわかった。 俺のことを忘れてしまっててショックだった。 忘れてしまうくらい俺のことを愛してくれていたんだって…自分のバカさ加減に嫌気がさしたよ。 例え思い出してくれなくても、絶対に惚れさせてみせるって大口叩いたけど。 不安で不安で怖くて仕方がなかった。 でも、何年かかっても、希の側にいて希のことを想って生きていく覚悟はあった。 少しずつ心が近付いて、少しずつ思い出してくれて。 手を繋ぎハグをして。 そして…

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