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第177話

「斗真…寝てしまったのか?」 希が帰ってきた!ちょっと寝たふりしてやろーっと。 ガサゴソと何か片付ける音がしていた。 冷蔵庫の開閉の音も聞こえた。 飲み物も買ってきてくれたんだろう。 それらの音が止んで、ギシリと椅子に掛ける音がすると、ふわりと頭を撫でられていた。 「痛い思いしたよな…かわいそうに。 俺、付いていけばよかった… お前に何かあったら…俺は…」 俺を撫でる手が震えていた。 俺はこれ以上黙っていることができなくなって、希の手に自分の手のひらを重ねると 「これっくらいでくたばるようなヤワじゃねえよ。 心配させてごめんな?希。 早く元気になるから…俺を愛してくれよ。」 「斗真…起きてたのか。バカ野郎、すぐにでも抱きたいんだよっ。 入院なんかしやがって。 せっかく記憶も戻ったのにお預けかよ。」 「…ごめん…」 「ばーか。お前のせいじゃないから。 それに待った分だけ楽しみが増えるだろ? …退院したら…腰立たなくなるくらい抱くから…そのつもりで。」 さり気なく恐ろしいこと言われたぞ。 腰立たなくなったら…仕事どうするんだ? 「希…手加減してくれよ…な?」 「…今でも相当我慢してるんだ。 これ以上何か言ったら…抱くぞ。」 ひえぇーー 俺様希様降臨!完全に戻ってきたーー! 「いやいや、ここ病院だから! 俺、絶対安静だから!」 慌てふためく俺を横目で見ながら、希は足を組んで、ちょっとお高めなアイスクリームを食べていた…

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