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第179話

「「ボスっ!?」」 「Ciao(チャオ)!影山、落ち着いたか? 入院なんて…ありえない! おい、遠藤!これ生けてきてくれ!」 束になった真っ赤なバラと、ガラスの花瓶を希に手渡しながら、ボスはウインクして言った。 「赤いバラ…まさかボス、斗真のことを…」 希は全身の毛を逆立てて、今にもボスに飛びつきそうな勢いだ。 「No No No (ノ ノ ノ)!!!!! 誤解だ!遠藤!落ち着け! 俺には愛するパートナーがいる! これは見舞いの品だよ!」 「チッ…紛らわしい…ありがとうございます。」 希は舌打ちをして花束を受け取り、洗面所に行った。 おい!曲がりなりにも俺達の上司だからな! それもトップの! ぞんざいに扱い過ぎだろ? 希の態度を気にする風もなく、ボスが椅子に腰掛けた。 おおっ…何やってもサマになる。 病院でさえ異空間だ。 さすがイケメン イタリアーノ! 希が花瓶いっぱいに咲き誇るバラをサイドテーブルに置いた。 無機質なこの部屋が、一気に華やいだ。 「ボス、美しい花をありがとうございました。でもどうして赤いバラ? パートナーさん、怒りませんか?」 「花といえば赤いバラだろ? 大丈夫さ! これの十倍のものをプレゼントしてきたから。」 うへぇーっ。 やることが…キザったらしい… この人のパートナーさんって…どんな広い心の持ち主なんだろう。 一度お目にかかりたいくらいだ。

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