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第181話
「ひょっとしたら、アイツが誤解するような行動を俺が取っていたのかもしれない。
俺には全然そんなつもりはなかった。
今までもこれからも、地球がひっくり返っても、一ミクロンもそんな気持ちは起こりはしない。
それに
今回のことがキッカケで、希の記憶が戻ったんです。
そのことだけはアイツに感謝したい。
でも、もう、二度と顔を見たくない…というのが本音です。
関わり合いたくない。
俺達に構わないでほしい。
そうかと言って、この間も言いましたけど、アイツを前科者にはしたくないんです。
…ボスはさっき『一生僻地に』と仰ってましたよね?
どんな理由であれ、退職はさせない
絶対に俺達と出会う可能性のある支店支所・場所には行かせない
そうして下さるのなら…警察沙汰にはしません。
居所が分かっていれば、ストーカーの心配もないでしょう?
ただ、これで済ませようとは思わない。
手痛いくらいの慰謝料は払ってもらいます。
『影山は金で解決した、そんな程度の奴だった』と思われるくらいが丁度いい。
アイツの未練を断ち切るには、それがいいかと。」
「…遠藤?君も影山の言う通りでいいかい?」
「俺は…斗真がそう決めたのなら、口出しはしません。」
「そうか…影山、恩赦のような慈愛に満ちた選択だな。
いや…それは一見優しいが、逮捕よりももっとダメージが大きい。
影山が、いかに怒っているかというのがわかる。
頭のいいアイツなら、その思いに気付くはずだ。
じゃあ、その方向で話を進めるよ。
もし、気が変わったらすぐに連絡をくれ給え。」
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