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第186話
ココロが希に近付いたら、だんだんと解れてきて、気が付いたら指が三本入るようになっていた。
そろそろもういいだろう。
逆上せそうになりながら、風呂から上がり、希を探した。
いた。
さっきの場所でまだ膝を抱えて蹲っていた。
「希…」
無視…三歳児かよ。
真正面に座り、希の両頬を挟み込んで俺の目線まで持ち上げた。
「随分と久し振りだから…今、ちゃんと解してきたから。
すぐにでも愛し合えるよ。
希、お待たせ。」
ハッと何かに気付いた希の目が潤んでいた。
「斗真…ごめん。俺、自分のことばかりで。
優しくするから…俺に抱かれて…
もう、我慢できない。」
ぎゅうっと抱きしめられ、それだけで幸せな気分になってくる。
希は俺を抱え上げると、そそくさと寝室へ運んでいった。
俺をベッドの端に座らせると
「俺もシャワー浴びてくるから…」
と、ダッシュで走って行ってしまった。
五分も経たないうちに現れた希は腰にタオルを巻いただけの姿で、身体のあちこちに拭き残した水滴が付き、髪もまだ十分に乾かしていない様子だった。
「希…髪くらいちゃんと乾かしてこいよ…」
「だって…だって、斗真…」
「ほら…いいからおいで。」
希の手を掴んで洗面所へ連れて行った。
椅子に座らせてから、温風を当てて乾かしてやる。
ついでに濡れた身体も拭いてやる。
ふわふわと跳ねる髪がかわいくて、思わず笑みが漏れる。
それを鏡越しに見ていた希は、頬を膨らませ口を尖らせていた。
お子ちゃまか?
「さあ、いいよ。」
「斗真ぁ…」
あーあぁ…幼児退行かっ。
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