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第187話
子供のように甘えたになる希の頭を撫で、背後から抱きつき、肩に顎を乗せて揶揄ってみた。
「どうした?希。いつもの俺様はどこに行ったんだ?」
「斗真…斗真…」
希は俺の腕を包み込むように抱きとめた。
今にも泣きそうな歪んだ顔も愛おしい。
「…ごめんな。俺が不甲斐ないせいで、お前を辛い目に合わせてしまった。
俺のことを本当に…心から愛してくれてたのに、俺は…
もう、二度と悲しい思いはさせないから。」
頬を寄せた後、覗き込んでキス。
「希…早く俺を抱いてくれ。
お前のものにしてくれよ。
あ…腹に負担のかからないようにな。」
「くっ…お前って、何でそんな男前なんだよっ!」
悔しそうに呟いて俺の腕に軽く歯を立てた。
「痛いじゃん。お前は犬かっ」
「甘噛みだよ。愛情のシルシ。」
「なんだよ、それ…いいから早くベッドに連れて行けよ。」
「本当に…このお姫様はワガママだなぁ。」
「どっちが!?何が『お姫様』だよっ!」
ふふっ と笑いながら手を繋ぎ仲良く寝室へ向かった。
今から始まる甘い夜を思うと、胸がドキドキしてきて、お腹の奥がキュウっと痺れてくる。
それでもあまりに久し振りで、まるで初めて肌を重ねるように緊張していた。
「斗真、緊張してる?心臓、破裂しそうになってるけど。」
「当たり前じゃん!
久し振りすぎて、お前に初めて抱かれるように感じて…どうしていいかわからない…」
「ふっ…かわいいなぁ、斗真…大丈夫だよ…俺に任せて…」
俺の顎をくいっと掴むとそっと唇を合わせてきた。
優しく穏やかなキス。
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