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第193話
「でもまさか、彼も同士だとは思わなかったな。」
希がくすくす笑うと、埋まっている希自身も一緒に震えるから、それだけで俺の全身も感じてしまう。
気取られないように
「あぁ、そうだな。ちょっとびっくりしたけど。
俺達にチェーンは必要ないから…あの人も早くカムアウトできるといいのに。」
「本当に。
俺達は結果ボスのお陰で支障なく受け入れてもらってるから…アレはアレでいい人なんだよな。」
「『アレ』って…曲がりなりにもトップだぞ!
前から思ってたんだけど…お前、ボスに対して結構ぞんざいな扱いじゃないか?」
「ん?そうか?」
「そうかって…お前そんなんで、よくチーフやってられるよな。」
「だって、よく知ってるから。」
「え?…よく知ってるって…まさか…付き合ってた…?」
「はぁ?お前、バカ?
俺がお前一筋なのを知っててそんなこと言う?
信じられねぇ…お仕置きが必要か?」
最後の台詞は耳元での低音ボイスで…びくりと身体が跳ねてしまった。
「いっ、いらねーよ!お仕置きなんてっ!
でも、よく知ってるって…何で?」
「ボスのパートナーは、俺の元上司だから。
ホームパーティやらでよく遊びに行ってたからな。顔もよく合わせてたし、夫夫でかわいがってもらってたよ。」
「パートナーって…まさか…」
「はい!ご名答!」
「だから…『真剣なら…性別を超えた恋愛も応援する』って言ってたんだ…自分のこと棚に上げて!」
何だよ。さっさと言えよ!
俺たちのことばかりカムアウトしやがって。
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