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第199話

「こんなに幸せな気持ちになれるなら、もっと早くにカムアウトしとけばよかった… そうすれば、大翔にも もどかしくて辛い思いをさせることもなかったのに…」 「俺は信じてたから…俺達が結ばれるために、全ては必要なことだったんだ。 その思いも昇華して今があるから。」 「大翔…」 「I'll give you all my love…(私のすべての愛をあなたに捧げます)」 大翔さんは、田中君の左手を恭しく掲げると、その小さな煌めきにキスをした。 田中君は、次第に潤んできたその目をびっくりしたように大きく見開いていたが、くしゃりと顔を崩して大翔さんの胸に飛び込んだ。 あまりにもスマートでストレートな愛の告白に、俺達は見惚れていた。 大翔さんは、えぐえぐと泣く田中君をそっと抱きしめ、俺達の視線に気付いてパチンとウインクした。 田中君、ずっと揺るがない大きな愛で包まれていたんだね。 感動して胸が一杯になってしまった。 あ…俺も…俺もずっと無償の愛で包まれて… …その時、俺の左手がふわりと温かくなった。 希? 希が微笑みながら俺の手を握っていた。 うん、そうだよ。そうだよな。 お前、ずっと俺を想い続けて心を飛ばしてしまうほど、想ってくれてたんだよな。 俺の全ての愛をお前に捧げるよ… 想いを込めて、俺もその手を握り返して微笑んだ。 少し潤んだ目はお前にどう映ったんだろうか。 店内に流れるボサノバの優しいリズムが耳に心地よく響いていた。

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