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第205話

息が上がり求め合う気持ちが昂ぶる寸前、どちらからともなく『これ以上はダメだ…』と理性をフルスロットルで振り戻した俺達は、精一杯の妥協案で、手を繋ぐだけに留め(これでもかなりの強烈な我慢を強いた)、ソファーに移動して、お互いの存在を確かめ合うようにぴったりと寄り添って座っていた。 今すぐにでも、抱き合いたい。 全てを与え、奪いたい。 二人とも…そう思っていた。 けれどもこんな状態で抱き合えば、滅茶苦茶に激しく交わるのは目に見えている。 そうなれば俺が再入院する確率は、ほぼ100%。 それは、いろいろとマズい。 どちらかがひと言『抱きたい』と口に出してしまえば、もう、押さえることはできない。 理性と感情が交錯する中、ただひたすら お互いのことを思い耐えていたのだ。 繋がる指はじっとりと湿り熱を帯び、心臓は どこかへ行ってしまいそうに、まだ跳ねている。 触れている肩から足の先までの半身が、一体になったかのような錯覚に陥っていた。 どちらも言葉を発しない。 息遣いだけが聞こえる静かな部屋で。 俺達は昂ぶる想いを抱えたまま、ただ…寄り添っていた。 愛する人のことを思うだけで、こんなになってしまうなんて。 繋がりたいと願うだけで、心が柔らかに感じるなんて。 希…お前に伝えたいのは… 愛してる 俺を愛してくれて、ありがとう

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