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第206話
爽やかな風がレースのカーテンを揺らし、優しい日差しが入り込んでいる。
何て穏やかで静かな時間なんだろう。
愛する人に身を寄せその温もりを感じて、同じ時を過ごしている。
贅沢な過ごし方…
希は、絡ませた俺の指を弄りながら
「…斗真、大好きだ…お前のためなら、この命くれてやるよ。
なぁ…結婚式、しないか?」
「結婚式!?」
「うん。お前ん家に行った時さ、お前が潰れてる間に、俊兄と翔兄にも相談して言われてたんだ。
『きっちりケジメつけとけ』
って。
義姉さん達もノリノリでさ。
あ、もちろんお前の両親も。
流石にドレスは止めてくれって言われたけどさ。
ありがたいことに、俺達の居住区は同性婚が認められてるしな。
俺の…記憶喪失で書類を書くのも出すのも忘れてたよ。
…ごめん。
書類上だけじゃなくて、俺はきちんとお前を俺のところに迎えたいんだ。
結婚式場もいい所を知ってるらしいから、そこ紹介してくれるって。」
「それは…俺のせいだから。
うわぁ…式かぁ…それは なかなか恥ずいぞ?
二人でタキシードかぁ…バージンロード歩くのか?
俺が?
うーん…ちょっと考えさせて…」
「俺は結婚式したいんだ。
斗真、頼むから式挙げよう?」
「二人だけじゃダメ?」
「お前ん家、家族全員出席する気満々だったぜ。」
「マジかー…二人きりならいいけど。
誰か来るなら嫌だ。」
「うーん…じゃあ、考えて。」
何だか一気にマリッジブルーになった気分になった。
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