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第217話

「斗真…」 俺を見た瞬間、希は立ち上がり不安気な顔をして俺の名を呼んだ。 泣き腫らした目をどう思ったのか。 差し出される手と揺れる瞳に、俺は橘さん達のことを気にも止めず、希に抱き付いた。 「希っ、希…ごめん、ごめんなさい…愛してる…」 それだけをやっと口にすると、溢れる涙で言葉が出なくなった。 希は何かを察したのか俺を力一杯抱きしめる。 あぁ、この温もり。 甘やかに香るフレグランスに隠れた雄の匂い。 俺の…俺の愛する唯一無二の存在… 誰が何と言おうと、世間に後ろ指を指されようと、俺は、俺は命を懸けて生涯をお前とともに歩いて行く。 希なしの人生なんてありえない。 この気持ちは誰にも譲らない。 お前のことを手放したりしない。 あの、気高く美しい場所で、俺達二人だけの愛を誓おう。 見えない尊い存在に、二人の永遠の愛を… 俺の愛するのはこの男だと。 声高らかに宣言しよう。 「…希…結婚式、しよう…」 希の胸に頬を寄せ、そうささやくと 「…いいのか?本当に…いいのか?」 「うん。俺の愛する男は“遠藤 希”だと、誇りを持って宣言するんだ。 希を愛する気持ちは誰にも負けない。 だから認めて下さい、って。」 「斗真…ありがとう…愛してるよ…」 次第に俺達の顔が近付き、唇が合わさる直前… 思い出したっ! ここ、結婚式場っ!! オーナー夫夫が側にいるっ!!! 希が仰け反るくらい両手で思いっきり ぐいーーっと希の顎をずらして横を見ると… 隼人さんと遥さんがニコニコしながら俺達を見ていた…

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