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第218話

完熟の林檎も真っ青になって逃げ出しそうな程に全身を真っ赤に染めた俺と、ニヤケ顔が止まらない希は並んで座っている。 希は俺の手をがっちりと握って離さない。 対面で座るオーナー夫夫は満面の笑顔。 いやぁ…小っ恥ずかしい。 理性が飛んだ。吹っ飛んだ。 人前であんな…今だって…手ぇ離せよ… 穴があったら入りたい。 消えてなくなりたい。 透明人間になりたい。 そんな俺の気持ちを知りながら斗真が話を進めていく。 「…ということで、他を回るつもりはありません。 当初の希望通り、二人だけの教会式と、神前式との二回、ぜひ、こちらで挙式をお願い致します。」 「ありがとうございます。 では、ご希望の日時やその他の詳しいことをお尋ねしてもよいでしょうか? それとも…改めて…後日にされますか?」 俺を気にしながら隼人さんが聞いてくれる。 「斗真…このまま話を煮詰めてもいいか? 改めて相談に来ようか?」 「………………」 俺の様子を察した希は 「すみません、また改めて電話してから相談に伺います。 今決めても、一方的な感じになりそうなので…」 「はい、いつでもお待ちしてますよ。」 「影山様、ご心配なく!私達にお任せ下さい!」 「…はい。よろしくお願い致します…」 消え入りそうな声で答える俺… 嫌なんじゃない。 さっきの人前でのラブシーンが恥ずかしいだけだって。 そんな心配そうな、泣きそうな顔するなよ。 ぎゅっと希の手を握り返した。

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