219 / 1000
第219話
「希…」
「ん?どうした?斗真…」
…だから…そんな辛そうな顔しないでくれよ…
そうだ。
ちゃんと俺の気持ちを伝えなきゃ。
「違うんだよ!」
「斗真?」
「違うんだ!結婚式が嫌なんじゃないんだって!」
「え…?」
「さっき、雰囲気に流されて、橘さん達の前でキスしそうになったのが嫌なだけなんだって!!」
「はぁっ!?」
「お前にとってはハグもキスも日常茶飯事で当たり前なんだろうけど、俺にとっては、その…それは、二人っきりですることで…なんて言うか…その…
恥ずかしいんだよっ、バカっ!」
ぽかーん と口を開けて聞いていた希が笑い出した。
つられて隼人さんと遥さんまで、肩を震わせて笑っていた。
「くっくっくっ…あー、斗真…お前、かわいすぎる。
なーんだ、そうだったのか…
俺はてっきり…恐れをなしてやっぱり結婚式は嫌だと思ってたのかと…」
「ホントはそれだけじゃないけど。」
「えっ…どういうこと?」
俺は遥さんを見やると
「きちんと伝えて…」
と、口パクで後押ししてくれて…
「最初教会に案内されて、怖くなったんだ。
『俺達がこんな所にいていいのか』って。
でも、遥さんに俺の気持ちを聞いてもらって反省することもできた。
俺達の関係を再確認できた。
俺は『遠藤希』を生涯愛すると、堂々と宣言したいって思えたんだ。
だから、ここで、あの場所で、結婚式を挙げたい。
希、こんな俺だけど結婚して下さい。」
「斗真…」
気が付くと目の前に希の顔があって、唇が重なってきた。
バカっ!今、言ったばっかりじゃねーかっ!
ジタバタする俺をガッチリと押さえ込んだ希は離れない。
ともだちにシェアしよう!