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第220話

バシバシ背中を叩くけれど、その身体はビクともしない。 「んーーっ!んむっ、んんっ、んむっ!!」 全力で抵抗して、やっと離れた希を睨みつけ、きょろきょろと辺りを見回すが… あれ? そこに居たはずのオーナー夫夫がいない。 「痛ってぇ…思いっ切り殴りやがって… オーナーさん達、気を利かせて外に出てくれたんだな。」 希の声がまた近付いてきて、顎を掴まれた。 「今度は殴るなよ?」 揶揄いを含んだ情欲の瞳。 鼻先にふわりと香る希のフレグランス。 俺は目を閉じてキスを受け止めた。 べろりと唇を舐めた後、少し厚ぼったい舌が侵入してきた。 溢れそうになる声を必死で堪えて希にしがみ付く。 ちゅくちゅくと口内を掻き混ぜられて、もうこれ以上は…と思った瞬間、名残惜しそうに離された。 「続きは今度な。」 至近距離でニヤリと笑うイケメン。 くそっ。またやられた。 膨れる俺の頬を希の手が滑り 「斗真、ごめんな。 悪いけど、俺、お前を『結婚』という事実で拘束するよ。 一生俺からは逃げられない。 俺に…無条件で愛されろ。いいな。」 ばか。 何言ってんだよ。 「お前こそ…俺に一生愛されとけ。 吠え面かくなよ。」 二人して吹き出した。 と、そこへノックの音が。 「失礼致します。よろしいでしょうか?」 「はい!、どうぞ。」 うれしそうなお二人が部屋へ入ってきた。

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