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第225話

見境なく煽ったのは俺だ。 それは認める。 お陰で身体の熱も大方引いた。 でも、二回もヤらなくてもいいだろ? 髪の毛を撫でる大きな手が気持ちよくて、目を瞑り拗ねた顔のまま、その手に身体を委ねていた。 「斗真…」 「………………」 「怒ってる?」 「…怒ってない。」 「…怒ってるだろ?」 「…恥ずかしいだけだ、バカ。」 「ごめん。お前、かわいくて。」 クスクス笑う声が頭上から降ってくる。 むう と膨れた頬を突かれて、俺も笑い出した。 穏やかに流れる時間。 愛する(ひと)との掛け替えのない時間。 この先、どうなるかはわからない。 人の心も寿命もわからないけれど。 それでも俺は、この(ひと)と一緒にいたい。 一生を共に過ごしたい。 希…お前がいれば何もいらないよ。 例えそれが後ろ指を指される人生だとしても。 俺は堂々と胸を張って生きていける。 もう、迷わないから。 お前だけを愛してるから。 そんな想いを込めて、希を見つめた。 不意に真剣な眼差しで見つめ返された。 「俺も、迷わないし、お前だけを愛してるよ、斗真。」 驚きに目を見張ると、ちゅっ とキスされた。 「…どうして…」 「斗真、『迷わない』って。『愛してる』って思ってくれてるんじゃないか? だから。 俺もそう思ってるから。」 「…お前、時々エスパーかと思うよ…」 そう呟くと 「そうだったらいいのにな。 そうすれば、お前を傷付けることがなくなる。」 と真顔で言われた。 起き上がって俺からキス。 「希は希のままがいい。」 日が落ち、オレンジと群青色のグラデーションが美しく溶け合う様がガラスに映る頃まで、俺達は黙ってただ抱き合っていた。

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