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第226話

一緒に風呂に入りたいと、駄々を捏ねる希に負けて、俺は今、希に後ろから抱きしめられて浴槽に浸かっている。 「…すごい色になってきたな…まだ痛むか?」 「うーん…押さえたら痛いけどな。 ところどころ色が戻ってきてるから、大丈夫だろう。」 殴られた跡は赤黒く変色して、そこだけ別の生き物のようで、我ながら気持ち悪い。 それに それを見ると、否応無しに矢田のことを思い出してしまう。 すっかり消えてしまうまで、アイツの影を纏っているようで、何だかムシャクシャする。 俺の声音に苛立ちを感じたのか 「大丈夫だ。すぐに消えるよ。 それに… きっちりと俺が上書きして消してやるから。 安心しろ、斗真。」 俺はびっくりして振り向いた。 「希…」 「大切なお前を傷付けられて… ムカつくよな…お前を守ってやれなかった…悔しいよ。 守ってやれなくてごめんな、斗真。」 「アイツの気持ちを知りながら、のこのこ行った俺が悪かったんだ。 ある意味自業自得かも。 でも、この痣を見る度に、アイツを思い出してムカつくんだ。」 「だから、俺が上書きして消してやるって言ってるんだよ。 あー、早くセックスしてぇ…」 「…耳元で言うな。俺だって… 明日、診察の日だから…な?我慢して。」 「俺も一緒に行く。」 「いいって。一人で行けるから。」 「嫌だ。一緒に行く。」 はあっ…甘えた発動した。こうなったらテコでも動かない。 「…じゃあ、車で待ってて。それならいいだろ?」 「…………………」 まさかマジでついて来る気か?

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