234 / 1000
第234話
寝室のドアを開けると、希はベッドに腰掛けて待っていた。
ベッドサイドの薄明かりに照らされて浮かび上がるのは、妖艶な色を纏う愛おしい夫。
その側に近寄り跪くと、緊張のあまり掠れた声でささやいた。
「希…お待たせ。」
即座に腕を取られ、抱きしめられながら唇を奪われた。
ミント味のキス。
希も気を遣ったのか。笑えるな。
ある程度予想はしていたものの、早急な行動に思わずバランスを崩しそうになった。
がっしりと腰を抱えられ、危うく踏み止まった俺は、噛みつくような希のキスを受け入れ、両手を首に回した。
くちゅっ…ぴちゃ、くちゅ…
唾液の絡まる音に、否応無しに煽られていく。
喉奥からくぐもった声が出始め、唇を合わせたまま、バスローブを脱がされた。
ぱさりと床に落とされた音を合図に、希が俺をベッドへと誘 う。
手を取られ、今から始まる饗宴に心踊らせる自分に半ば呆れながら、その手をしっかりと握り返した。
「斗真…愛してるよ。俺から絶対に離れるんじゃないぞ。」
身体中に口付けていく希をそっと制した。
戸惑いの表情を見せる希に
「今日は俺がしたい。」
油断した希の身体をくるりと反転させ、体勢を逆にして耳元でささやいた。
「俺の印を付けさせろ。
お前は俺のものだ。」
瞬時に理解した希は破顔すると
「たっぷりと付けてくれ。」
と言うと、俺の頬を撫でてくれた。
耳朶から首筋、喉元へ…そして鎖骨の辺りまで唇を這わせていき、そこから赤く染まる印を重ねていく。
希の甘ったるい吐息が頭上から降り注ぐ。
ともだちにシェアしよう!