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第245話

何もかも満たされて目覚めた朝。 ん? 希がいない!? 「希…?」 いつの間にか脱がされ、真っ裸の自分に驚きながら、ベッドの下に落とされていたバスローブを慌てて引き上げると、それを着ながら希を探した。 よく見ると、新しいキスマークが幾つも増えていた… くそっ やられた… 「のーぞーみー?どこだ?」 「こっちだよ!斗真おはよう。お前、起きれたのか? 身体、どうだ?」 「おはよう。大丈夫。 お前こそ早いじゃないか。どうした?」 「天気もいいからドライブに行こうと思って。 レンタカー借りに行ってた。 それに…俺、婚姻届出したいんだけど…ダメか…?」 最後の方は聞き取りにくい小さな声だったが、ちゃんと聞こえたよ、希。 そっと希を抱き寄せて 「今日は二十一日だよな? 『二十一』って、 『(ふたりが)』『(むすんで)』『(はじまる)』 語呂合わせのいい日じゃないか! 婚姻届、もらってきてたよな? 直ぐに書くから出してくれよ。 あ…証人、誰にお願いする?」 「斗真、本当に…いいのか?後悔しない?」 「なーに言ってんだよ! しっかりしてくれよ、ダーリン! お前こそ…後悔するんじゃねーぞ。」 「斗真…」 ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ 「ありがとう、斗真。 証人は前から頼んでて、もう署名捺印してもらってる。」 「え?誰に?抜かりないな…」 「ボスと原田部長。」 「えっ!?ボスはわかるけど…経理の?そんなに仲良かった?何で?」 「あの人酒が好きでさ。得意先からもらう分、あの人にあげてるんだ。それで。」 「…お前の人脈も大したもんだな… じゃあ、後は俺が記入すればいいんだな? 早く出してくれよ。」

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