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第248話

「…げほっ、げほっ…のーぞーみー。 お前…バレちゃっていいのかよっ!?」 「だって入籍したし、みんな知ってるし、いいんじゃない?」 「『いいんじゃない』って…」 「それとも斗真と俺は隠さなくちゃいけない関係なのか?」 「…いや、そうじゃないけど…」 もごもご言いながら席に着く俺達にウェイターが言った。 「いらっしゃいませ、遠藤様。 ご予約ありがとうございました。 当店、バイキング形式となっております。 ご不明な点がございましたら、ご遠慮なくお申し付け下さい。 どうぞごゆっくりお楽しみ下さい。」 営業スマイルのウェイターにお礼を言って 「さぁ、斗真、好きなだけ食べるぞー!」 「…はいはい。今行きますよー。」 ため息をつきながらトレーと皿を取って、賑わう列に並ぶ。 「うっわー、美味そう…でも、昨日から贅沢し過ぎじゃねぇ? 食い過ぎて太るかも…」 ふいっと耳元に口を寄せた希がとんでもないことを言いやがった。 「毎晩食べた以上のカロリー消費するからいいんだよ。」 “それ”が何かを想像し、ぶわっと沸騰して真っ赤になる俺に、イケメンスマイルの希は動ずることなく、次々と皿に乗せていく。 あーーっ、もう、コイツはっ ホントに、もう、とブツブツ言いながら、俺も負けじと皿に乗せていく。 思い思いの料理を乗せて席に着くと 「「いただきます」」 目の前の男はうれしそうに微笑みながら、子供みたいにパクついている。 窓の外は広がる海。 ふと手元を見ると、左手には美しく煌めくリング。 「斗真?どうした?」 箸の止まった俺を怪訝な顔をして見ていた。 「ううん、何でもないよ。 お前って何やらしても完璧だなって。」 希が大きく目を見開いた。

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