251 / 1000
第251話
「なぁ、斗真。」
「ん?」
「俺さぁ、今までお前に会える日を夢見て、我武者羅 に突っ走ってきたんだ。」
「うん。ものすごい努力してきたのは…聞いた。」
「だから、立ち止まって何も考えないでいる時間って、想像できなかった。
今、想いが叶って、こうしてお前の側にいて、ゆったりと流れていく時間が、途轍もなく愛おしいんだ。
何も言わなくても、お前がいてくれれば…」
「希…俺を見つけてくれて、ありがとう。」
「ずっと、ずっと側にいて。」
「嫌だって言っても離れてやらない。
側にいろ、希。」
「何だ、斗真。偉そうじゃん。」
「嫁の尻に敷かれた方がいいんだよ。」
「ははっ…そういうことにしといてやるよ。」
突然顎を掴まれ肩を抱かれ、噛み付くようにキスされた。
角度を変え、何度も、何度も。
その時、俺の携帯から着信音が…
「ラ◯ン?後でいいだろ?」
「ん…ちょっと待って…」
そっと希の身体を押して離れると…流石に希は不機嫌な顔をしていたが…画面を見ると、遥さんからだった。
???何だろう???
『こんにちは。先日もお越し下さりありがとうございました。
お仕事中だと思い、こちらからの連絡で失礼致します。
影山亜美様と結衣様、お二人からのプレゼントとしてブライダルエステコースのご予約を頂きました。
斗真様のご都合の良い日時を押さえたいと思います。
ご連絡してもよいお時間をお知らせ下さい。
こちらから改めてご連絡させていただきます。
どうぞよろしくお願い致します。
l’espoir 橘 遥』
読んだ途端固まった。
その様子を見て、希が携帯を引っ手繰るようにして読み終えると
「何だこれ?
『ブライダルエステコース』!?
斗真が?
あはははっ!…やるなぁ、義姉さん達…
プレゼントって、これかぁ…」
ともだちにシェアしよう!