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第253話
「それって…断ることは…」
「『どうしても嫌だ』と仰るなら、お義姉様達にはお伝え致しますが…
あの喜びようを見てると、どうしてもお断りできなくて…申し訳ありません。
説明だけはお聞きいただきたいのですが…」
「…わかりました。とにかく、説明と返事は金曜日に伺った時に。」
「そうしていただけると助かります。
あ、難しく考えないで下さいね。
最近は、花嫁様と一緒にお受けになる方も多いんですよ。
では、お待ち致しております。
斗真様にもおよろしくお伝え下さい。
お忙しい時間に申し訳ありませんでした。
失礼致します。」
俺達、しばし無言…
「…ごめん、希。あの人達暴走して…」
「ん、あぁ…びっくりしたけど…
よく考えたらさ、こんな機会でもないとエステなんて行かないよな…
せっかくのお祝いなんだから、一緒に綺麗になってさ…いいんじゃないか?」
「希…」
「綺麗になったお前を抱くのもいいかもな…ぶっ!痛っ!
…殴るなよ…」
「ばかっ。変態っ!俺は嫌だっ!!」
「斗真…そんな…せっかくのお祝いだぞ?」
「……………」
「そんな…泣かなくても…」
「……………」
「な?話だけでも聞こう?
遥さんもそう言ってくれてたんだろ?」
「……………」
「斗真ぁ…」
「……………」
「斗真?何が嫌なんだ?」
「……………」
「斗真…いい子だから…」
「…俺は…俺達は…義姉さん達のオモチャじゃないっ!」
ひっ…ぐすっ…ひっ……
必死で涙を堪える俺を希がそっと抱きしめてきた。
「斗真…きっと義姉さん達は、そんなつもりでしてるんじゃないぞ?
俺達男では気が付かない『特別な日』のために、考えてくれたんだと思う。」
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