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第254話
「ひっ…ぐっ…わかってる…わかってるけど…
何だか茶化されたみたいで…俺達、真剣なのに…
本気で…ひっ…お互いのこと…思ってるのに…
ひぐっ…」
希が、とんとんっと俺の背中を叩きながら
「うん…そうだな…
そんな風に…感じちゃうよな…
でもさ、あの二人だよ?
ノリもあるだろうけど、俺達を“普通の”カップルだと扱ってくれてるんじゃないか?
『花嫁さん』は磨きに磨いて、一番綺麗な姿で愛おしい夫 の元へ嫁ぐんだから。
そんな気持ちで斗真を俺の元へ送り出そうとしてくれてるんじゃないかな…
で、オマケに俺もって。」
「………………」
「俺、結衣さんに聞いてみる。」
「何でお前が連絡先知ってるの!?」
「お前の家に挨拶に行った時に、全員とラ◯ン交換したぞ。」
「………………」
俺の返事を待つこともなく、希は携帯をスライドしてお目当てのアドレスを見つけると、早速かけ始めた。
「はーい、もしもし?」
「結衣義姉さん?希です。この度は色々とご迷惑をお掛けします。」
「なーに言ってんの!お祝い事は大歓迎よ!
で、どうしたの?」
「実はさっきエステの件で」
「あっ!そうなの!亜美義姉さんと悩んだんだけどね、ご祝儀とは別に、二人に何かしてあげたいと思ってたの。
絶対二人ではしなさそうなのがいいよねぇーって。
ちょうどあの式場、何でも揃ってるのよ。
私達のかわいい義弟を綺麗にして送り出したいなって。
ゴリ押ししたんだけど…ひょっとして斗真君、ゴネてる?」
「…ええ。実は。」
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