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第255話
「ふぅっ…やっぱりね…
海外育ちの希君と違って、斗真君って純和風じゃない?精神的にも日本男子が服着て歩いてる、みたいな。
だから、ちょっと心配だったのよねぇ。
受け入れてくれるかどうか。
今のご時世、美しいものを追求するのに男も女も関係ないから。
あ、決して笑い者にしたり茶化してる訳じゃないのよ。
そこは誤解しないで!
そんなこと、更々思ってないからっ!」
「…お義姉さん達のお気持ちはよくわかりました。
お気遣いいただいてありがとうございます。
斗真とも話し合ってみます。」
「希君からも言ってあげてね。
…私達は、二人が私達の家族になるのが本当にうれしいの。」
「お義姉さん、ありがとうございます。
また、連絡させていただきますね。」
「いい返事、待ってるわ。じゃあね。」
「斗真…」
「………………」
「な、言った通りだろ?
義姉さん達は、純粋に俺達のこと考えてくれてのことなんだ。
なぁ、機嫌直せよ、斗真…」
「…わかってるって。…わかってるけど…」
「うん。」
「…けど………」
「うん。」
「………わかれよ、ばかっ。」
希は俺を膝に乗せると、片手で頭を 片手で背中をぎゅうっと抱きしめた。
「よしよし。わかってるよ、斗真…」
俺も希にしがみ付いた。
わかってるよ。
義姉さん達の気持ちも。
それを受け入れる希の気持ちも。
俺だけ恥ずかしがって戸惑って、どうしていいかわかんなくて。
そんな、ただでさえ結婚式を挙げるのさえ一杯一杯なのに。
ましてやエステだなんて。
自分で言うのもなんだけど、俺ってこう見えても、ヘタレなんだよっ。
悪かったな。
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