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第259話
いつもの余裕がなく、焦った顔の希。
切なげな吐息が俺の情欲を誘う。
湯気が立ち込め、バスルームには水音と俺の嬌声が響く。
「くっ…斗真…好きだ、好きだ…俺を…離さないで…」
哀願しながら楔を打ち付け、俺を狂わせていく野獣。
壁が薄くて隣や廊下に聞こえるのでは とか、腰が立たなくなったらどうしようか とか、僅かに残った理性が ちらりと脳裏に浮かんだが、希の激しい抽挿の前に、呆気なく砕け散っていった。
「…あっ…くっ…希…激しっ…」
「斗真…斗真、斗真っ!」
一段とスピードを増した抽挿に、快楽に落ちた頭で『あぁ…もうすぐ、果てるのか…』とぼんやりと思ううちに、握り込まれた俺自身も ぐんと嵩を増し熱が込み上げてきた。
「あぁっ!!」「うっ!」
かくっと膝を折り掛けた俺の腰を支えた希から、どくどくと熱い飛沫が吐き出され、腹の中に溜まっていく。
希の身体が背中に覆いかぶさってきて、激しい動悸と荒い息がダイレクトに伝わってきた。
しばらくしてゆっくりと俺から離れた希は、背骨の真ん中にキスを一つして
「斗真、ごめん。我慢できなくて…いきなり突っ込んで無理させたな…ごめん。」
「…ホント、何だよボディソープって…
そんなに余裕なかったのか?遠藤 希君?」
揶揄いがちにそう告げると、バツの悪そうな顔で「ごめん」と呟いた。
「まぁ、俺も…お前がほしかったから…おあいこだな。
…ちゃんと丁寧に俺を洗ってくれよ。」
途端に希の顔がぱぁーっと明るくなり、いそいそと俺の身体を洗い始めた。
俺は何だかおかしくなって必死で笑いを堪えて、希のすることを眺めていた。
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