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第260話
逆上せる前に風呂から上がり、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出すと一本希に渡した。
自分も半分くらい一気飲みしてから、入館時に選んだ、希はパウンドケーキ、俺はロールケーキを頬張り、小腹を満たしてからベッドへ倒れ込んだ。
希も俺の隣にそっと横になり、俺を抱きしめてくる。
「希…盛り過ぎ…」
「ん…ごめん…でも我慢できなかった…
家までなんて、持たなかったよ…
斗真、俺の…斗真…」
すりすりと身体を猫のように擦り寄せてくる希。
「お前、どんだけ“甘えたさん”になってんだ?
まぁ…俺も人のこと言えないんだけど…」
「斗真だって、俺のことほしかったんだろ?」
「…うん。俺も…希がほしかったんだ。
でも、家まで待てる余裕はまだあったぞ。」
「うっ…まぁ、いいじゃないか。
こうやって何度でも愛を確かめ合えるんだから。
あ、別に何もしなくても愛してるぞ。」
「俺のことを好きなのはわかってるから、もう少しセーブしようよ。
ここんとこ、毎日だぞ!?身体もたないよ。
ヤりたい盛りの高校生か!?
…時間一杯休憩したら…帰るぞ。」
「ごめん…努力する…」
擦り付いて甘えてくる希の頭を撫でてやり、半端ないコイツの執着は、いつになったら落ち着くのかと少々不安に思いながらも、でもまぁ、十年分だから重いよなと納得した。
俺だって、自覚のなかった十年分の思いは、きっと同じだから、希のダイレクトな愛情を甘んじて受け入れる俺も大概だなと呆れつつ、抱き合っていた。
結局、希と俺は同じなんだ。
コイツの執着は俺の執着。
コイツの愛情は俺の愛情。
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