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第266話
「最近消費カロリーが半端ないからな…甘いもの食べて補給しないと。
なぁ、斗真♡
痛っ!…もう…痛いじゃないか。」
「もう…誰のせいだと思ってるんだ?
見境なく盛りやがって…お前、発情期のライオンか狼みたいだぞ?
いい加減に」
「斗真が好きだから!仕方ないだろ?好きなんだもん…」
大声で叫ばれ、その必死な様子に、俺は圧倒されて固まってしまった。
「…希。」
さっきまでご機嫌だった希はどこへ行ったやら、涙目でじっと俺を見ている。
「希…」
抱き寄せて頭を撫でてやると、大きなため息をついて抱きついてくる。
「だって…コントロールが効かないくらいに、お前のことを愛してるんだ。
自分で自分を持て余してるよ。
抱き潰す度に『ごめん』って謝ってる。
でも、止まらないんだよ。
いつでもどこでもどんな時でも、おまえがほしくて堪らない。
なぁ…こんなにお前のことばかり考える俺って、おかしくないか?
捨てられたらどうしよう。
斗真と住んでるのは夢で、本当は目が覚めたら一人ぼっちなんじゃないか。
俺を愛してるって言ってくれたのは嘘なんじゃないか。
いつもそんな想いに囚われてる。
…だから
お前の温もりを感じたくて、肌を重ねたくて…」
あぁ…やはりそうか。
あの執拗な愛し方は不安の裏返しだったのか。
迷子の子供のような希の瞳が揺れている。
「希。約束しただろ?ずっと一緒にいるって。
ほら。指輪。
お前が選んでくれたやつ。
籍もちゃんと入れたじゃないか。
俺が捨てられることがあっても、俺からは絶対にお前を捨てたりしないよ。」
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