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第271話
「新婚旅行…まとまった休みの時でいいよな?
どこに行くのか、お前と相談していろいろ計画立てたかったから。
急に決めても、行き当たりばったりなんて嫌だからな。
お前と二人ならどこでもいいんだけど…
でもせっかく行くのなら、ちゃんとしたくて…
ごめん…お前の意見も聞かないで、さっきボスにもそう言っちゃった…」
「俺は最初からそのつもりだけど?
あれやこれやでかなり休んでるからな。
それに…俺はアメリカに行きたいんだ。」
「え?どうして?」
「お前の家族にも挨拶したいし、思春期の希がどこでどんな風に過ごしたのか、俺も見てみたいから。
俺の知らない時間を過ごした希を探しに行きたいんだ。
案内してくれよな。」
「斗真…いいのか?親父達に会ってくれるの?」
「希だって、ちゃんと俺の親や兄貴達に挨拶に来てくれたじゃないか。
俺だって『不束者ですが…』ってお願いしなきゃ…だろ?
ふふっ。定番だけどな。」
「斗真っ!!」
俺の名を呼び抱きついてきた希を受け止めて、抱きしめ返す。
「斗真…お前って…サイコーの嫁だな…
まさに“スーパーハニー”だよ!
ありがとう…そんな風に考えてくれてたなんて…」
「お前のことは何でも知っておきたい。
俺のことを思って過ごした学生時代のことも。
そのお陰で…希が俺のことを忘れずに思ってくれてたお陰で、今、こうやって、お前と…」
「斗真ぁ…」
ぐりぐりと頭を擦り付けてくる希がかわいくて仕方がない。
俺はどんだけコイツに惚れてしまってるんだろう。
頭を撫でて。
柔らかな髪を指に巻きつけて。
その指でそっと頬に触れた。
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