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第275話

文句を言いながら、それでもいちゃいちゃムードは残しつつ式場に到着した。 「ようこそ!先日は急なお電話を申し訳ありませんでした。」 「いいえ。かえってご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。」 「その話は後程…さぁ、どうぞ!」 にこやかに出迎えてくれたのは遥さん。 今日はシンプルな応接間に通された。 薄いピンクのバラが花瓶に生けてあるテーブルは、そこだけスポットライトを浴びたように華やかな雰囲気だ。 この前のふわふわひらひらの部屋よりずっと落ち着く。 ホッとして促されたソファーに腰掛けると、タイミングよく現れたのは隼人さん! 「ようこそ、いらっしゃっいませ! よろしかったらコーヒーをどうぞ。」 「「ありがとうございます。」」 「粗方決まってますからね。今日は細かなところを詰めて、準備万端 当日に備えましょう。 後で衣装もご覧いただきますね。」 遥さんの穏やかな声音に、少し緊張していた俺は、ホッと息をついた。 さり気なく、希が俺の手を握ってくれた。 「はい、よろしくお願い致します。 ところで、エステの件なんですが…」 と希が切り出すと、遥さんが微笑んで 「お義姉様お二人からの、どうしても とのご依頼でして… 一応ご説明させていただきますね。 1day(ワンデイ)コースで3時間かかります。 内容は、お顔、背中のシェービング…あ、カミソリ当てですね…お顔のパックやマッサージ、それに全身のボディマッサージ。 お二人同時に施術できます。 これはちょっと…というところがあれば、それは外されても結構ですよ。」 「うわぁ…3時間…」 「予想してたけど全身かぁ…」

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