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第277話
よく見ると、遥さんの言う通りに同じ刺繍が施してあった。
細かくて丁寧に仕上げてある。
「俺、試着してみるよ。」
「おおっ!斗真がヤル気になった!」
希に茶化されながら着てみると、自分で言うのも何だけど意外と似合う。
カーテンを開けて
「おーい!のーぞーみー!」
「うわっ!斗真…カッコいい…惚れ直す…」
希が口元を押さえて真っ赤になっていた。
「あぁ…よくお似合いです!お直し…必要ないですね。
最近来られるお客様はモデル体型の方が多くて、ほとんどお直ししないんですよ。
うらやましいな…
遠藤様もご試着されては?」
「はいっ!斗真、待ってて!」
いそいそと試着室に消えた希が、数分で出てきた。
「斗真、どう?」
あー…イケメンスパダリ降臨した…
「希…モデルみたい…」
「うわぁ…こちらもよくお似合いです…
遠藤様も…お直しいらないですね…
すみません、お二人並んでいただいて…最高です!
このままうちのモデルにお願いしたいですね…」
「あぁ…お二人ともよく似合ってますよ。
対の物なのでしっくりきますね…いやぁ、イケメンのカップルっていいですねぇ…」
いつの間にか試着室に来ていた隼人さんにも褒められ、俺達はすっかり有頂天になっていた。
「なぁ、斗真…これが一番いいと思うんだけど…他にも見るか?」
「いや、希が選んでくれたんだからこれでいい。」
「そう?じゃあ、これにしようか?」
「だ・か・ら…希がいいのなら、これでいいって。」
側にいたオーナー夫夫の存在をすっかり忘れていちゃいちゃし始めそうになり、慌ててよそ行きの顔に戻す。
「「これでお願いします」」
「ふふっ、承知致しました。」
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