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第279話

「何でそれを選んだの?」 希に聞かれたけれど 「内緒っ!後で教えてあげるよ。」 えへへっ…と笑って誤魔化した。 本当は…花言葉で選んだ…なんて恥ずかしくて言えないよ。 それぞれの花もそうなんだけど、同じ種類でも色で全く意味が違ってくるんだ。 白いバラは…「純潔」「私はあなたに相応しい」「深い尊敬」 今更純潔でもないけどさ。 俺様希様に相応しいのは俺しかいないだろ? 希のことリスペクトしてるからさ。 白いガーベラは…「希望」 俺達の未来は希望に満ちている…そう思いたいから。 白いカーネーションは…「純粋な愛」「私の愛は生きています」 恥ずかしいけど…俺たちの愛は純粋でずっと生き続ける。 そんな思いを込めて選んだんだ。 オンナみたいって笑わないでくれよな。 俺だって一生懸命考えたんだから。 「ステキな選び方ですね。 影山様…いや、もう遠藤様…でしたね、失礼致しました。 斗真様の思いが詰まってますね…うちのスタッフがその思いを受け取って最高のブーケにしてみせますよ。 楽しみになさって下さいね。 ブーケのスタイルはこのような感じでよろしいでしょうか?」 「そうですね…あ、これがいいです!こういう感じでお願いします!」 遥さんにはわかってるんだ。 この花を選んだ意味が。 うんうんとうれしそうに頷く遥さんを見ていると、わかってもらえたうれしさと恥ずかしさが混濁して、何だか泣きそうになってきた。 「斗真?」 横から心配そうに俺の顔を覗き込んだ希が 「お前、泣くなよ。まだ早いぞ?」 と言って、そっとティッシュで拭いてくれた。 頬を触ると冷たい。 俺、泣いてたんだ…

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