279 / 1000
第279話
「何でそれを選んだの?」
希に聞かれたけれど
「内緒っ!後で教えてあげるよ。」
えへへっ…と笑って誤魔化した。
本当は…花言葉で選んだ…なんて恥ずかしくて言えないよ。
それぞれの花もそうなんだけど、同じ種類でも色で全く意味が違ってくるんだ。
白いバラは…「純潔」「私はあなたに相応しい」「深い尊敬」
今更純潔でもないけどさ。
俺様希様に相応しいのは俺しかいないだろ?
希のことリスペクトしてるからさ。
白いガーベラは…「希望」
俺達の未来は希望に満ちている…そう思いたいから。
白いカーネーションは…「純粋な愛」「私の愛は生きています」
恥ずかしいけど…俺たちの愛は純粋でずっと生き続ける。
そんな思いを込めて選んだんだ。
オンナみたいって笑わないでくれよな。
俺だって一生懸命考えたんだから。
「ステキな選び方ですね。
影山様…いや、もう遠藤様…でしたね、失礼致しました。
斗真様の思いが詰まってますね…うちのスタッフがその思いを受け取って最高のブーケにしてみせますよ。
楽しみになさって下さいね。
ブーケのスタイルはこのような感じでよろしいでしょうか?」
「そうですね…あ、これがいいです!こういう感じでお願いします!」
遥さんにはわかってるんだ。
この花を選んだ意味が。
うんうんとうれしそうに頷く遥さんを見ていると、わかってもらえたうれしさと恥ずかしさが混濁して、何だか泣きそうになってきた。
「斗真?」
横から心配そうに俺の顔を覗き込んだ希が
「お前、泣くなよ。まだ早いぞ?」
と言って、そっとティッシュで拭いてくれた。
頬を触ると冷たい。
俺、泣いてたんだ…
ともだちにシェアしよう!