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第280話
「リングボーイかリングガールはどうされますか?
結婚指輪を邪気から守り清めてくれるという由来があります。
ピローに乗せて指輪を運んでくれるんです。
近年人気があって、九割のカップルが利用されてます。
もし、どなたかお知り合いがいらしたらお願いされたらいかがですか?」
俺と希は顔を見合わせた。
「縁起物ならお願いしたいけど、身近にそんな知り合いいないよな?」
「甥っ子の貴明、兄貴のとこの…アイツ四才だったかな…でも当日は二人きりでしたいから呼んでないし。」
「もしよければ…」
「はい。」
「実は、遠藤様のお式の前日に結婚される同性カップルがいるのですが、新婚旅行を二人で行かせたいと、五才のお嬢ちゃんから依頼がありまして…
旅行の間お預かりして、うちでリングガールのお手伝いをしてもらうことにしたんです。
あ、これはお二人にはまだ内緒なんですけどね。
非常にしっかりしたお子さんで、他のお式のリングガールのお手伝いもしてもらうことになってまして。
もしよければ彼女にお手伝いをしてもらいませんか?
もちろんお代金はいただきません。」
「斗真どうする?俺はお願いしてもいいよ。」
「希がいいなら…邪気を払ってくれるってことなんですよね?
それなら、お願いしないか?
何でも『いい』と言われることはやっとこうよ。
それに、二人だけで新婚旅行に行かせたいなんて、普通五才は考えないよ。
余程しっかりしてる子なんだろうね。
遥さん、ぜひお願いします。」
「ありがとうございます。
では、そのように手配させていただきますね。
ピローはどれにしましょう?
オーナー!持って来てくれる?」
後ろで控えていた隼人さんが、すかさずテーブルに並べてくれた。
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