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第283話
「こうやって一つ一つ決まっていくと、本当に斗真のこれからの人生を預かって一緒に歩いていくんだ…責任重大だって、身震いしてくるよ。」
「ははっ…俺も同じだよ。
希を拘束して、もう、離さない…一生しがみ付くから、覚悟しとけよ。」
「ふふっ、まかせとけ。嫌だと言っても離してやらないからな。」
二人で顔を見合わせてクスクス笑っていると、隼人さんが
「何か気になる点やご不安に思われることはございませんか?
もしあれば、いつでもご連絡下さい。」
「はい、何かあればご連絡させていただきますっ!」
これで後は来週のエステ…あまり気が乗らないが仕方がない…と、式を待つのみとなった。
二人に見送られて式場を後にして、お腹が空いているのに気付いた。
「希ぃ、お腹空いたぁ。何か食べて帰ろう!」
「ん、そうだな…何食べる?」
「何でもいい。ガツガツ食べれるやつ。」
「じゃあ…牛丼で!」
すぐに見つけた、国道沿いのチェーン店に車を滑り込ませ、二人とも本当にガツガツとかっ込んで食べた。
「あー、腹一杯!満足、満足…
あれ?着信がある…お袋!?」
「お義母さん?嫁に行く息子が気になるのか?
それともエステの件で義姉さん達にせっつかれてるのか?」
希がクスクス笑ってる。
もー、何だよー と返しながら、本当は内容はわかってる。
きっと希のお母さんの件だ。
早速連絡を取ってくれたんだろう。
「どうせロクでもないことに違いないから、家に帰って掛けるよ。」
「急ぎじゃないのか?斗真がいいなら、いいけど…」
俺は内心ドキドキしながら適当に誤魔化した。
できれば希がいないところで話したかったから。
バレたら『余計なことするな』って一喝されそうだったし。
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