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第284話
家に着いて食事の準備を始めたのだが、希が
「あっ!生姜買い忘れた!」
「なければ、ないなりにすればいいじゃないか。」
「ダメだよ!だって今日は豚の生姜焼きだぞ!
肝心な食材がないとダメじゃん!
俺、ちょっと買いに行ってくるよ。」
「俺が行こうか?」
「いや、いいよ。散歩がてら行ってくるから。」
「そうか?悪いな…じゃあ俺、お袋に電話しとくわ。」
「うん。行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
かちゃり
希が出て行った。チャンス!!!
すぐさまお袋に電話した。
「もしもし?斗真だけど。」
「あ、斗真?
希君のお母さんに連絡取れたわよ!
『結婚おめでとう!やっぱりね』って言ってた。
アンタ話あるんでしょ?
都合つけるからいつでも言ってって。
私もいた方がいいなら一緒に行くし。」
「流石お袋!サンキュー!
早い方がいいな…いや、これは俺達の問題だから。
早速だけど明日は?」
「そう言うと思った。アンタんちの隣町に住んでるんだって。
電話番号教えるから直接掛けてごらん。」
「ありがとう…すぐ連絡してみる。」
「ラ◯ンで送るから。」
「サンキュー!」
慌てて電話を切って、ラ◯ンを確認する。
そして、気持ちも整わないまま、その番号にコールした。
「はい、もしもし?」
「あ…ご無沙汰しています。斗真です。影山斗真です!」
「斗真君?うわぁ…何年振りだろう…
希と結婚するんですって?おめでとう!」
「…すみません、ありがとうございます。
実はもう入籍を済ませて、俺、希の籍に入れてもらったんです。」
「…そうだったの…とにかくおめでとう。
それで…私に話があるってお母さんから聞いたんだけど…」
少し不安げな声で尋ねられた。
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