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第292話

唇を合わせながら、どちらからともなく、相手の服を脱がせにかかっていた。 シャツのボタンを外す手ももどかしく、一枚一枚剥ぎ取るように放り投げ、生まれたままの姿でぴったりと抱き合う。 触れる肌を愛おしげに撫でていく。 目の前の愛する男を抱きたい、抱かれたい。 ただそれだけだった。 「…斗真、斗真…あぁ…斗真…」 「希、希っ!希!」 名前を呼び合うだけで熱が上がる。 次第に昂ぶっていく二人の楔が大きく形を変え始めた。 とろりと愛蜜が零れ落ちる竿をお互いの手で包み込み、上下に擦ると更に大きさを増していく。 粘つく液を満遍なく擦り付けた竿は、ぬちゃぬちゃといやらしい音を立て、耳からも犯される。 「…くっ…希っ…早く、早く、コレを俺の中に…」 喘ぎながら請うと 「ごめんっ…十分に解してやる余裕ないっ…」 希はガタガタと引き出しからローションを取り出して、俺をうつ伏せにして尻を高く上げさせると、直に俺の蕾に擦りつけてきた。 ヒヤリと冷たい感触に、ぶるりと震えてしまう。 それに構うことなく、希は既に怒張した切っ先を二、三度擦り付けると、ずぷずぷと遠慮することなく突き入れてきた。 後背位にしたのは、少しでも俺の負担を軽くするためか。 「あああっ」 突っかかりながらも、ぐいぐいと俺の中に分け入ってくる楔は、肉筒をこそげ落とすようにして突き進む。 俺の肉筒は嬉々の声を上げ、ずぶずぶと簡単に飲み込んでいく。 もっと。 もっと奥に。 希…お前の全てを受け入れてやる。 だから もっと、もっと… ぷちゅんと濡れた音を立て、際限まで繋がった俺達は、しばらくそのままじっとお互いの体温と息遣いを感じていた。 希と俺の下生えが絡まり合い、時折にちゃりといやらしい音を立てる。 熱い…どくどくと、熱の放出を待ちわびる剛直の楔を体内に感じ、俺は泣きそうになっていた。

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