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第299話
夜9時頃になってやっと少しずつ動けるようになった俺は、希の手を借りながらシャワーを浴びて(もちろんエッチなことは禁止で)、遅い夕食を済ませると、すぐに横になって湿布を貼ってもらった。
「あー、美味かったー。腹一杯だぁ!
食べてすぐ寝ると牛になっちまうよー。ヤバーい。」
「斗真が牛になったら、田舎に引っ越して飼ってやるから心配するな」
「何で?俺だけ牛?何でだよ…
…俺が牛で飼う前提なんだ。ペットかよ。」
「うん。リボン付けてかわいがってやる。散歩にも連れて行ってやるぞ。」
「うへぇ。餌は最高級の有機野菜を混ぜ込んだ高級飼料だぞ。」
「ははっ。そこまでこだわるのか。」
「当たり前だ。
テレビ付き、冷暖房完備の牛舎を頼む。
俺は贅沢なんだ。」
「ばーか。冗談に決まってるだろ?
…斗真が牛になったら、喋れないしエッチできないじゃん。
斗真は斗真でいてくれ。」
「くくっ…結局ソッチかよ…俺って…身体だけ?
『あなたって、私の身体だけが目的なのねっ!』
何かヤダなぁ…」
「ばか。何言ってんの。
斗真は斗真。何になっても斗真。
身体もいいけど、そうじゃないの、わかってんだろ?
お前だから。斗真だから…」
「…あー、もう、わかったから。
もう、言わなくていいから。
あー、もう、恥ずかしい…」
バカな掛け合いをしながら、いちゃいちゃと布団の中で戯れて、痛む腰を庇いつつ今夜はそっと抱き合って眠りについた。
翌々日から、いつも通りの日常が始まった。
休んだ分のツケはそれなりにあったが、すぐにペースを戻して成績を取り戻す程に俺達は充実していた。
その日の夕方、出張から戻ってきたボスから突然呼び出された。
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