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第303話

「俺も…俺だって、堂々と宣言できる! 『斗真を愛してる』って! 斗真、俺はお前に相応しい男になるから…」 「希はもう、それ以上だよ…今のままでいいから。」 「とぉーまぁー♡…むぐっ」 廊下でキスしようとする希の顎を押し退け 「ここではダメ。家に帰ってからな。」 と優しく言うと、渋々離れてくれた。 俺も大した役者になったもんだ。 いや、待てよ…帰宅してからが…怖いかも。 ちょっとビクつきながらも希と帰宅し、一緒にキッチンに立って晩ご飯の支度をした。 今夜のメニューは、カツ丼。油っこいのがこれがまたいい。 ほとんど希がしてくれて、美味いを連発して平らげた後、俺が片付けをする。 風呂に入ってホッと一息ついたところへ、希がぴったりとくっ付いてきた。 「とぉーま♡」 「ん?」 「ちゅー。」 「ふえっ?」 「ちゅーする。」 俺の答えを聞かずに濃厚なヤツを一発。 ちゅくっ、ちゅくっ…んふっ、んぐっ… ぐいーーっと肩を押して、大きく息をする。 「…はぁっ…希…明日、エステだから…この“ちゅー”で今日はおしまいだぞ?いいな?」 途端に膨れっ面になりましたよ、この子は。 「な?今晩だけ我慢して? 明日の夜は…な?いい子だから…」 希の頭を撫でてやり、ご機嫌伺いをすると 「…じゃあ、明日…言うこと聞いてくれる?」 「…んー…何か恐ろしいけど…俺の嫌がることするなよ?」 「善処する。」 うっわ…『しない』と言わない辺りヤバい。 何するつもりだ? でも、ここで譲歩しないとマジヤバい。 「じゃあさ、ぎゅってして寝よう? 明日早いからさ、な?」 渋々俺を抱き込んだ希と久し振りに何もない夜を過ごした。 これはこれで何か物足りない…って絶対に言ってやらない。

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