313 / 1000
第313話
しばらく唇を堪能した後、名残惜しそうな希をそっと離すと
「これでおしまい。続きは明日な?」
と念押しすると、唇を尖らせ拗ねた口調で
「ひどいな…煽るだけ煽っておいて…
まぁ、仕方ないか…明日のお楽しみは大きければ大きいほど…ふふっ」
「おっ、お前…何だかトンデモナイこと考えてんじゃないだろーな?
ノーマル、ノーマルでお願いしますっ!」
「えーっ?『ノーマル』ってなぁーに?
俺、わかんなぁーーい。」
「チッ…あざとい…覚えてろよ。
…ちょっと早いけど俺、ご飯の支度しとくわ。」
「手伝おうか?」
「いや、簡単に済ませるからいいよ。
ゆっくりしてて。」
「うん、わかった。ありがと、斗真。
じゃあ、片付けは俺がするから。」
「おう。頼んだ。」
何となく重怠い身体を無理に動かしてキッチンへ向かった。
やはりツボを押さえられたりリンパマッサージで悪いものを流したり、身体のあちこちを触られ、自分自身で正しい位置に戻るように調整してるのかもしれないな。
ん?
でも希に『やりたい放題される』=『身体の中も外も滅茶苦茶触られてる』 のに、怠さの感じ方が違うのはどうしてなんだろう?
んー?
まぁ、そんなことどうでもいいや。
ちらりと希の方を見ると…あれ?いない…
どこに行った?
ソファーの背もたれから覗き込むと…
いた。
あの僅かな時間で寝息を立てて寝てる!
爆睡じゃん。人のこと言えないじゃん。
でも、身じろぎ一つしない伴侶の、その寝顔がかわいくて、思わずおでこにそっとキスしてやった。
希はぴくりとも動かない。
寝室から毛布を持ってくると、全身を包むように掛けた。
安心しきって…口元緩ませやがって。
何だか幸せな気持ちのまま、俺は続きをするべくキッチンへ戻った。
ともだちにシェアしよう!

