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第315話
夜もまたお代わりをして満腹になったところで、片付けすると言って聞かない希とバトンタッチして、ぐだぐだとソファーに寝そべっていた。
そこへ片付けを済ませた希がやって来て、俺を起き上がらせると、後ろから抱き込んで座った。
「ありがとな、希。
義姉さん達にお礼の電話したいんだけど…」
「そうだな。先に俺が掛けるよ。で、代わるからお礼言うといいよ。」
「うん、わかった。」
予想通り、義姉さん達は二人とも大はしゃぎで喜んでくれ、随分とあれこれ聞かれたけれど、俺達を“心から祝福してくれてる”というのが、電話越しでも伝わってきた。
とりあえずお礼と、結婚式への参列のお願いを念押しして電話を切った。
一仕事終えたような気分で、ほっとため息を零すと
「ヨク ガンバリマシタ」
とロボットみたいな変な日本語を発して頭を撫でてきた。
「何?それ…普通にできないのか?
ま、いいや。
まだ身体怠いし、俺今日は寝るよ。」
「ん…じゃあ、俺も。」
「…いいけど絶対手ぇ出してくんなよ。
もしやったら…メイド服は却下だ。」
「…わかってる。」
お…珍しく素直だ。
そんなに、俺にメイド服着せたいのかよ…
一応ダメ出ししとかないとすぐ盛るし、俺も希の思惑通りにその雰囲気に流されるからな。
しゅんと項垂れた希を見ないフリして、歯磨きをしに洗面所へ向かった。
ホントに…
どれだけ俺のこと好きなんだ?
十年分を取り戻す勢いで俺を求める希を毎日のように受け入れて…同じくらい…いや、それ以上に希に執着する俺。
ただの“好き”とか“愛してる”というレベルではない。
粘着した…愛?
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